『大英帝国衰亡史』―中西輝政

19世紀後半に絶頂を迎え、世界の諸大陸に植民地を有し、「日の沈むことのない国」と称された大英帝国はいかなる興亡をたどったのか。本書は、帝国の興亡と人民の精神活動の観点から、英国人のアイデンティティの変遷に焦点を当てて大英帝国の衰亡を論じている。大英帝国の基礎は、世界的に広大な国土や資源、人口に求められるものではない。筆者によると大英帝国の覇権は、歴史的変遷により生起した欧州のシステムに英国が…

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『漂流するリベラル国際秩序』―日本経済研究センター(編)

本書は、日本を含む西側諸国が、冷戦期あるいは冷戦以降から現在まで享受している自由民主と市場経済を基調とする国際秩序―リベラル国際秩序―について、思想・外交・金融・安全保障といった主要な政策側面においていかなる挑戦を受けているかを概観し、国際秩序の展望と日本のステートクラフト(対外政策のあり方)について洞察を磨くきっかけを与える。 1 思想的な挑戦 まず思想の位相について、中西氏(京都…

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『世界秩序―グローバル化の夢と挫折』田所昌幸

1 リベラル国際秩序の動揺 冷戦終結から30年が経過し、日本人が慣れ親しんだ国際秩序は流動期を迎えている。それは、戦後の安全と繁栄の基盤となってきた自由主義的価値観(人権・民主主義・民族自決)と自由貿易を基調とした市場経済を規範とし、軍事力や威圧ではなく国際法により規律することを是とする「自由主義的国際秩序」/「リベラル国際秩序」の動揺を意味する。筆者も指摘するように、その秩序の実践は、ア…

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